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クラシックロックドリルの世界
第21回 AK20/AK30/FCB15/FCB20/B30/B40 中型ハンドブレーカ

FCB15 ハンドブレーカ
FCB15 ハンドブレーカ
B30 ハンドブレーカ
B30 ハンドブレーカ
B40 ハンドブレーカ
B40 ハンドブレーカ

人力で土木作業を行っていた時代は、地面が固く締まりスコップの刃が立たない場合は先ずツルハシ等で地面を起こしていましたが、ハンドブレーカが製品化されるとさっそく掘り起こしに利用されるようになりました。
地面の掘り起こし用途に大型ハンドブレーカは打撃力が強すぎるため、重量20kg(40ポンド)前後の中型ハンドブレーカが使用されました。

中型ブレーカにはシリンダなど主要部品の形状が丸型の物と鍛造型の物の2種類があります。

①丸型ブレーカ
a. AK20/AK30 1971年(昭和46年)
丸型シリンダのブレーカは一般にコンクリートブレーカと呼ばれます。
フロントヘッド、シリンダ、ハンドルを丸鋼材から削り出します。制作にあたって特別な加工機、ジグが必要無いことから多くのメーカで製造されました。
フロントヘッド、シリンダ、ハンドルの各部品にはネジが切られており、ネジで組み立てられた部品が緩まないように緩み止め機構が必要になります。初期は製造会社により緩み止め方法が違っていましたが、最終的には各社ともにクラッチ方式の緩み止めとなりました。
丸型ブレーカは使用しているうちにハンドルとシリンダのネジ部が摩耗して遊びができると動作が不安定になるため、適宜ハンドルを回して増し締めする必要がありました。そのためスペードロッドなどハンドルに対して向きが決まるロッドが使用できませんでした。

AK20/30
AK30/20
コンクリートブレーカ組立図
組立図

機種 AK20 AK30
重量 20kg 29kg
シリンダ内径 40mm 45mm
ピストンストローク 165mm 165mm
バルブ形式 半自動バルブ
Semi Automatic VALVE
半自動バルブ
Semi Automatic VALVE
打撃数 900回/分 800回/分

打撃反動の低下を狙い、AK20では半自動バルブを採用しましたが、他社は反動バルブを採用しました。しかし国内コンクリートブレーカ市場は、反動が大きくても、汚れに強く整備が簡単な反動バルブがレンタル向けに歓迎されたため、一旦、AK20の販売を終了することになります。

b. FCB15/FCB20
その後、コンクリートブレーカ市場に再参入するに当たり、業界標準の反動バルブ形式にモデルチェンジを行い、商品名はFCB20としました。
丸型ブレーカのシリンダとバックヘッドのネジ締結緩み止め機構は「ノコ歯クラッチ」方式(ネジの微調整ができるように、バックヘッド側に39等配ノコ歯とシリンダ側に内歯19枚を加工)が主流ですが、この部分の加工が一番手間が掛かります。
そこで、FCB20は原価低減を狙ってスルーボルト方式としましたが、ネジの折損が頻発して失敗してしまい、結局、他社と同じにノコ歯クラッチ構造となりました(FCB20-Ⅱ型)。 その後、市場の要望に応えて、小型のFCB15も販売されました。

FCB20-Ⅱ 空圧ハンドブレーカ
FCB20-Ⅱ 空圧ハンドブレーカ
部品表
部品表
丸型ブレーカのハンドル緩み止めクラッチ部
ハンドル緩み止めクラッチ部

機種 FCB15 FCB20
重量 15kg 20kg
シリンダ内径 35mm 40mm
ピストンストローク 130mm 165mm
バルブ形式 反動バルブ
Reaction VALVE
反動バルブ
Reaction VALVE
打撃数 1150回/分 1100回/分

②鍛造型ブレーカ
・B30/B40 1985年(昭和60年)
大型ブレーカと同様にフロントヘッド、シリンダ、ハンドルが鍛造製となっています。
丸型ブレーカより頑丈で過酷な使用に耐えます。また、ハンドル、シリンダ、フロントヘッドの位置が固定されるため、スペードロッドなどの向きを固定できる六角シャンクロッドを使用することができました。
用途に合わせてハンドルを変え、ディガー、トレンチャーとも呼ばれました。

B30/B40 リーフレット表面
B30/B40 リーフレット表面
B30/B40 リーフレット裏面
B30/B40 リーフレット裏面
左からB30標準ハンドル、B30ディガー、B30トレンチャー、B40標準ハンドル
左からB30標準ハンドル、B30ディガー、
B30トレンチャー、B40標準ハンドル

B30の作動状態(音量にご注意ください)

次回は番外編⑦ 空圧機械と坑内換気 の予定です。

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