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クラシックロックドリルの世界
第3回 ASD18 小型さく岩機

1930年開発 重量:10Kg
ASD18
ASD18

1916年に販売されたASD11は軽量簡便なさく岩機でしたが、バルブ切り替えにピストンクッション圧力を利用するため、構造上ピストンがロッド(タガネ)を打撃する前に減速したり、部品が摩耗してくると動作が不安定になる等の問題点がありました。

また、中型以上のさく岩機はすでに繰粉(クリコ:せん孔で発生した細かい岩石カス)の排出に水を利用する事でせん孔中の粉じんを防止していましたが、ASD11は繰粉の排出に圧縮空気を使用していたため、使用中は粉じんが舞い作業環境が悪化する問題もありました。
そこで1930年(昭和5年) 銅山工作課吉田技師により、ピストン前進から後退時のバルブの切り替えにクッション圧力を利用しない新しいバルブ機構を採用し、更に繰粉の排出に水を利用する新型小型さく岩機ASD18が開発されました。

ASD18は国産小型さく岩機で初めて半自動バルブを採用したことにより、部品の摩耗や空気圧の変化でピストン打撃位置が変動することが無くなり、入気経路の見直しなどもあってASD11より格段に効率の良いさく岩機となりました。
また、ピストンを貫くウォータチューブを内蔵させ、繰粉排出に水を使用した事でせん孔中に粉じんが舞う事が無くなり、作業環境改善に威力を発揮しました。
陸軍正式兵器「九九式小動力鑿岩機 全体図」 陸軍技術本部
陸軍制式兵器「九九式小動力鑿岩機 全体図」 陸軍技術本部

戦時中、ASD18は「陸軍九九式小動力鑿岩機」と制式兵器扱いになり全量陸軍に納入されました。

さく岩機工場(S12年)
さく岩機工場(S12年)
戦時中のさく岩機工場(左側)朝礼風景 (写真提供 古河足尾歴史館)
戦時中のさく岩機工場(左側)朝礼風景 (写真提供 古河足尾歴史館)

ASD18
重量 10Kg
シリンダ内径 48㎜
ピストンストローク 45㎜
バルブ形式 半自動バルブ
Semi-Automatic VALVE
バルブ形状 チューブ型
打撃数 2700回/分
掘進速度 180mm/分 (穴径32ミリ)
花崗岩(超硬ビット使用)


ASD18 動作の様子


次回はASD25(1937年開発)を紹介予定です。